飯能は意外と近い。
行く前は飯能なんて! 遠い、面倒と思ってたけど、西武線に乗ってしまえば池袋からあっという間。しかも田舎の風景を想定していたのに駅前はそこそこの都会。事前に抱いていた印象とは違った。
で、賑わった駅前からのびる大通りの飯能銀座にある純喫茶「コーヒー苑」。ここが物凄く良かった。
埼玉県飯能市仲町9-3
風格漂わす外観から、ここは間違いないと確信。
ただね…店名がね…コーヒー苑って。工夫がなさすぎやしないか?
ついでだから言っておけば、珈琲苑、珈琲園、珈琲館、珈琲家、珈琲屋。このへんも皆一緒で区別がつかなくて困っちゃう。でもこの中に珠玉がチラホラ紛れてるのも事実。
だけど、ドアの文字は可憐でキュート。手書きみたくラフなタッチが良い。
客席は1~2階に分かれており、すでに1階は埋まっており2階を勧められた。
うわっ! とても素敵で身震いする。
オーソドックスだが華やかさもあり、純喫茶かくあるべしな品と清潔さと風格を備えていた。シャンデリアがゴージャスだし、ワイン色の透けたレースのガーテンは艶めかしい。
所々に置かれた観葉植物のグリーンも良いアクセントになっているし、クッション地のパーテーションには重厚感がある。
Boseのスピーカーがあり、そこからは良い音でジャズが流れてきた。
これはとても良い。思わずため息。
しかし、これが10年前だったら、ここまで感動しただろうか? おそらくそれほどでもなかったはず。
以前はそこそこの規模の駅前には必ず純喫茶があった。ありふれたものに、有難みは感じない。それが現在では、かなり大きな駅でも喫茶ひとつない所はいくらでもあるし、あっても味もそっけもない安っぽいインテリアの店がガラス越に丸見えで、入る前に気持ちが萎えることも少なくない。このようなオーソドックスを極めた大箱店は貴重な存在になった。
このときばかりは埼玉も捨てたもんじゃないなあ、と思ってみたり。
正直なところなぜ私が埼玉にあまり行かないかというと、どうもパッとせず、気持ちが盛り上がらないというのが本当の理由。でも、もしかしたら、このコーヒー苑レベルの喫茶店を見逃してる可能性もあるのよね? 海なし県だからとか言ってる場合じゃないのかも。
テーブルにはいたずら書きもあるが、これも老舗の証。
コーヒーゼリーセットがお手頃な値段だった。
毎度のことだが、コーヒーゼリーに付ける飲み物には迷う。コーヒーゼリーとコーヒーを同時に頼むことに抵抗がある。だってコーヒーとコーヒーだよ? 2つコーヒー頼むみたいでおかしい。仕方なしに消去法的にアイスティーを注文したけど、もしセットのドリンクで選べるのなら、緑茶がいいと思っている。他の人はみんなどうしているんだろう? というか、そもそも喫茶店のメニューにコーヒーゼリーがあっても、いざ注文すると「ありません」と言われることが多いから、そんなこと悩むだけ無駄なのかもしれない。
階段の下には小型犬がつながれているらしく、時々キャンキャン騒いでるのが下から聞こえてきた。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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