華やかなりし鳥羽をしのぶ (2) 鳥羽マリンターミナルと龍宮城

来るべき日のための予行演習というか下見。

三重行きに際して色々調べていたところ、直前になって新情報が浮上。鳥羽の離れ島の神島が、かねてより私が恋焦がれていた江戸川乱歩の小説『パノラマ島奇談』のモデルになった島かもしれないという説。これには本当に心がぐらぐらと揺れ、いやぐつぐつ煮えたぎり、どうにか行けないか? 旅のプランを根こそぎ覆しかねない勢いだったが、冷静に考えると、神島は待ってくれるが純喫茶は待ってくれないという現実。嗚呼。両者を天秤にかけ、今回は純喫茶を優先してしまった。

でも見に行くだけでもいいじゃない? 鳥羽マリンターミナル。ここから神島行きのフェリーが出る。

鳥羽マリンターミナル1


『パノラマ島奇譚』のあらすじ

主人公はユートピア作りを夢見ている。そのためには莫大なお金がかかるのだが、主人公は貧乏だった。そこで思い付いたのがなりすまし。超大金持ちで自分に瓜二つの同級生がいたことを思いだし、なんとかすり替わることができないだろうかと考える。

ある日機会が訪れる。タイミング良くそっくりな同級生は亡くなり、さらに都合良くもその土地は土葬の風習があった。息を吹き返し、墓からよみがえり、『記憶喪失』になったという設定で登場する。

いくら瓜二つとはいっても、一卵性双生児ですら身近な人間には違いが分かるというのに、赤の他人がよく似てる程度で騙すとは無理がある。でも記憶喪失なら何でもあり? さらに生前(?)の本人の習慣の違いも、生き埋めにされたショックということで、すべて押し通すことができるというご都合主義……。

まんまと莫大な資産と美しい妻を手に入れた主人公は、全財産を注ぎこみユートピア(パノラマ島)を創り上げたという話。今思えば相当強引なストーリー展開だが、美しくもグロテスクなパノラマ島の描写には、それすら些細に思え全てが許されてしまう。
※(注)昔読んだのを思いだしながら書いたけど調べるのが面倒なので、もし間違ってる箇所があればコメント欄でご指摘いただけると幸いです。


三重行きが決まる少し前に、昔テレビで放送された江戸川乱歩の美女シリーズを見る機会があった。脚本はジェームス三木。原作とは大きく違う箇所も多々見られたが、ある意味原作を超えている。かなりエグイ残酷シーンや女性の上半身裸が割としつこく出てくるので、深夜でもないのによくテレビで放送できたなと感心するレベル。

偶然にも美女シリーズを見た後、パノラマ島のモデルってどこだろう?と調べていたら、鳥羽に行き着いたという次第。

ただモデルに関しては諸説あり(作中ではM県S郡のイニシャル)、神島よりもミキモト真珠島説が有名で、実のところどちらが正しいのかは明らかにされていない。

…と、長々と思い入れについて語ったところで鳥羽マリンターミナルに話を戻す。

鳥羽マリンターミナル2

ちょっと綺麗目だが、丸みを帯びたフォルムが70年代を思わせるレトロモダンな建物で、横から見ても奇抜。

鳥羽マリンターミナル3

来るべき日のため(しつこい?)フェリーの発着場を見て気分を高めた。

だが、

下見という美しい理由は表向きで、事前調査によると待合所がド昭和とのことで、それを見たくてというのが本当の本心。

でも、実際に来てみたら!

鳥羽マリンターミナル4

えーーーー! (違う!)

真っ白! 綺麗! 明るい!

どうやら昭和度数の高い待合室はすっかりリニューアルされてしまったようで。

ひーーー! 美しい目的などどこへやら。すっかり綺麗になってしまった待合所に打ちひしがれていると、

鳥羽マリンターミナル5

2階 喫茶コーナーございます、だって!

もしかしたら2階は純なスペースかも?

鳥羽マリンターミナル6 鳥羽マリンターミナル7 鳥羽マリンターミナル8

純ではないけど、白くて綺麗だけど、これはこれで素敵。

鳥羽マリンターミナル9

なんといっても全面ガラス張。窓から見える景色が抜群。

せっかくなので外に出てぶらぶら歩いてみた。

鳥羽マリンターミナル10

泳いで渡れそうな位の近距離に島が見える。

龍宮城

龍宮城1

船着き場には観光客向けの遊覧船。まあ、こういうのもあるよね。

龍宮城2

なに? あの派手(下品)な船は?

龍宮城3

その名も『龍宮城』

龍宮城4

むかし、むかし、浦島は~♪ 助けた亀に連れられて~♪ 龍宮城に来てみれば~♪

龍宮城5

乙姫様

龍宮城6

う~~~~ん

なんて言ったらいいんだろう…

ノリが秘宝館?

どこがどうって…いちいち書かないけど、こういうの秘宝館にありそう…。

乗ってみたいような、乗らなくてもいいような。正直言うと、後者(笑)。

鳥羽パールビル名店街

目と鼻の先には、鳥羽パールビル名店街。

利用金額

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コメント

匿名さん

「天国と地獄の美女」に限らず、天知茂の美女シリーズは必ずヌードシーンがあり、当時まだ小学生だったわたしには気恥ずかしかった覚えが。
ただ、80年代前半くらいまでは午後9時以降に放送されるドラマではよくあることでした。

枡矢と申します

神島
こんにちは。中国在住の枡矢です。楽しく拝見しています。私も三年前に神島に行きました。三島由紀夫の潮騒を読んでふらっと訪ねました。お盆休み実家に帰省する人達の船に向かい手をふり別れを惜しむ人達。映画のワンシーンみたいな光景が印象に残っています。関西では小学生の修学旅行は鳥羽、伊勢だったんです。少子化でかつての勢いはありません。西新宿のマックスのマスターがお元気なのか気になっています。ではまた。

エムケイ

>匿名さん
天知茂の美女シリーズ、ヌードシーンは必ずだったんですね。

子供の頃、親が見てましたが、もう寝る(実際は起きている)時間だったため電気も消え、音だけ聞こえてたので、子供心に見てはいけないものが放送されてるドキドキがありました。

たしかに気恥ずかしいですね。

エムケイ

>枡矢さん
神島に行かれたのですね。3年前というと比較的最近ですね。

関西では小学生の修学旅行は鳥羽、伊勢ですか。
たしかに遠くても遠すぎない絶妙な距離感ですよね。

神島はパノラマ島よりは潮騒ですよね。
三島由紀夫の本で読んだことがあるのは「金閣寺」と「仮面の告白」の2冊だけです。内容を覚えてるのは仮面の告白だけです(^^;)
潮騒、名作だし一度読んでみようと思います。
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