八王子抜きに、多摩地区の純喫茶を語ることなかれ。
多摩地区で最大の都市が八王子なのは、揺るぎない事実。人口が多い。歴史もある。大学も多い。当然、純喫茶もある。
純喫茶好きで八王子に行ったことない方は一度行ってみましょう。駅前だけでも、すぐに何軒か見つかりますし、駅からかなり離れた場所でも、あまり知られていない珠玉の純喫茶があります。
「珈琲専門店 憩」は八王子駅から近い。徒歩5分ほど。けど、これまで足を踏み入れたことのない場所にあった。
東京都八王子市三崎町2-10
…というのも、このへんは風俗店が密集しており、いかがわしい雰囲気なのです。近くにはどぎつい看板がチラホラ。
最初はマズッたか!? そわそわ早足になってしまった。でも、昭和の匂いが強烈な建物も入り混じっているのです。
その1つが憩。渋い3階建ての建物が目を惹いた。もしかしたら、東京では絶滅危惧種の3フロア構成の純喫茶かも?
看板はチモト。地味に2色。緑はよく見るけど、珍しい茶色もあり。
でも、一番の決め手は、中が見えないスモークガラス。近寄ると、シルバーで「憩 IKOI」。COOLでLOVELYなデザインは悶絶級。取っ手もシルバーのスクエアタイプ。
70'sまっしぐらな純喫茶!?
期待しつつ扉を開けるが、外観のイメージとは違い、すっきりと、広々した空間が広がっていた。
午後4時頃で先客1名。
2階へ続く階段が目にとまったが、行ける雰囲気ではなく、止められたら恥ずかしいので、おとなしく1階の席へ。
あとでお店の方に聞いたところ、2階・3階も客席(!)だが、現在は使っていない、とのこと。
内装は比較的新しく、どこかで一度は改装をしていそう。でも、決して味気ない感じではなく、古代エジプトの壁画風の銅版画を飾っていたり、奥はガラス張りで坪庭みたくなってます。遠目には日本庭園に思えますが、西洋的な彫刻があったりと、不思議系アート空間。
メニューは珈琲専門店と銘打つだけあって、ストレート・ブレンド・アレンジ珈琲の種類が豊富。
青い炎が幻想的なアイリッシュコーヒーなんてのもあります。950円…。
全体的にお値段はそこそこします。ブレンドコーヒーも何種類かあり、スペシャルブレンドは800円。
そこで、一番安いオリジナルブレンドコーヒー(550円)に。
あと、お得そうな(←セコイ)パウンドケーキと紅茶のクッキー(250円)も注文。ケーキがみっちりとして、美味。
本棚があったのですが、なぜか『失踪日記』(吾妻ひでお)がある!!!
この1冊だけマニアック。
一応、ずいぶん前に人から借りて読んだことあり、おぼろげながら内容は知っています。著者自身が主人公で、ホームレスになったり、アル中になったり(実話)。内容は重いのですが、軽いタッチで描いた秀作。
せっかくなので、読むことに。ただ、軽いタッチの割りに、じっくりと内容をかみしめると、途中で考えさせられることが多く、コマも小さい。意外に時間がかかり、なかなかページが進まず。この後、もう1軒行くつもりだったので、途中で断念。
こちらは全席禁煙。そのせいか、空気に透明感があります。マッチは期待薄でしたが、憩のロゴが悶絶級だったので、念のために聞くと、「ある」とのこと。
小躍りしました。
珈琲専門店 憩 マッチ (2013年)
そして、すっごい可愛い!
その上、「こんなのもあります」
灰皿を出してくれました。「写真撮ってもいいですか?」と聞くと、「差し上げます」とのこと。
わーわー。嬉しく、何度も何度もお礼しました。
正直、内装は70's的要素は少ないのですが、ロゴだけは70'sまっしぐら。秀逸なデザインだと思う。
左右で男女をイメージしているらしい。「どっちがどっちだったかは忘れちゃったけど」とママ。
なんとなく、左のハートの方が女性、右のダイヤが男性のような気がしますが、どうなんでしょう。みなさんは、どう思いますか?
これも純喫茶あるあるかな? 外から中は見えずとも、中から外は丸見え。
入るかどうか迷う姿、意外と目立ちます。
さて、2度目の訪問は、暑い暑い猛暑日。長時間炎天下を歩くのはきつく、『チェブラーシカとロシア・アニメーションの作家たち』の鑑賞のため、夢美術館に行く前に、一度ここで休憩を入れました。
空調がよく効き涼しく快適。こう暑いと、クーラーの効きが良いか否かも訪問の大きな動機になりますね。内装はすごく好きでも、エアコンの効きが悪い店は自然足が遠のきます。
チーズサンドとアイスコーヒー。
パンに弾力があり、芥子バターを塗っているのか、少しピリリとして、ハマる味。
もちろん『失踪日記』の続きも読みます。黙々と淡々と読み進める。
静かなBGMが流れ、涼しく、広々した空間。お店の人はカウンターに集まり、むやみやたらとお客を追い立てたりはしません。
読書がはかどる。漫画だけど。読破も間近。あと、もう少し、というところで…。
ティロリロリロリーン♪
いきなり、静寂が破られ、音のする方を見ると、カウンターから。からくり時計が午後4時を伝えるため、音楽を奏でたのでした。
もうこんな時間。慌てて、急ぎ足で最後まで読破。
周りを見回すと、お客さんの顔ぶれが1時間以上も変わっていません。長居をされる方ばかりのようです。
隣に座っていたのは男子学生4人組でしたが、その中の1人が「お前、いい店知ってるな」と言い出し、他の男子が同意してるのが聞こえた。
声には出さなかったけど、私もこっそりと同意。
憩を出た後、強烈に渋すぎる4軒長屋(?)を発見。
2階のテントがなんともソソられます。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
アカリのママ
2020/02/19 URL 編集
エムケイ
広いからそういう事もあるかもしれませんが、ちょっと意外です。
入れなかったんですね。残念。
マッチはまだあるのかな?
アイリッシュコーヒーは演出が派手で面白そうですね。
私はまだ飲んだことありません。
2020/02/19 URL 編集