奇跡の入店!
岩手県一関市地主町7−17
岩手に行ったらベイシーに行く!
随分前からそう決めてた。
とはいえ、ベイシーが休業なら岩手行かない、までの強い気持ちではない。休業を承知で岩手に来てますから(^_^;)
映画にもなったという事や、ジャズ喫茶好きの間では非常に評価が高く、音は日本一とまで言われています。
平たく言うと、有名店だし、一度は行っておくか程度。
そのくらいの軽いノリ。
「ロマンス」を出てから、いつか再開した時のための下見で行ってみたのです。
硬派ながら煉瓦造りの洒落た外観。
なぜか中からジャズが聴こえてきます。休業中ですよね?
余計なお世話だけど、近所から苦情が来ないか心配。
「ずっと休んでるけどベイシーの事を忘れないでください」の意味の健気なアピール?
日本一の音を維持するために音響機器には休みを与えずの社畜稼働?
それとも単純に店主の個人的趣味? なんせ日本一の音でジャズが聴けるのはここしかない。
いずれにしても、休みっぽくないんだよね(^_^;)。ついでに来たのですが、鼻先に人参ぶら下げられてるみたいでもどかしい。
看板も出てるし……
電気がついてるんですけど!
2020年3月23日付の休業の貼り紙。
ああ~やっぱり休業。仕方ない。引き下がるしかありません。
諦め悪く外にも響くジャズを聴きながら立ち止まっていると、男性が1人フラリとやって来てドアに近づき、やはり貼り紙を見て、帰っていくのでした。
そうよね?それしかないもんね?
でも、私は東京からわざわざ来た(恩着せがましい)。いつ営業再開か聞いてみるくらいはいいんじゃない? 中に人いるっぽいし。ついでに来ておきながら、欲が出てきました。
再びドアの前に立ち、中を覗くと、ジャズのフライヤーがペタペタ貼ってあるのが見えます。そうそう、私が興味があるのはフライヤーなのよ、いざという時の苦し紛れの言い訳を考え、ドアに手をかけると開いた…!
店名の由来となったカウント・ベイシー関連のフライヤー。
来店した有名人のサイン。能町みね子さんもいらしたんですね。
さらにもう一つドアがあるんですが、中が結構見えます!ジャスの音がますます大きく、ライブハウス並みの音量。
客席に人が座ってるのが見える。なんでだろう? もしかして常連さん向けの内輪の鑑賞会だったりするのだろうか?
すると、いきなりドアが開き、オーナー(菅原正二氏)登場
私「あの?休業中なんですよね?」
B「たしかに、ずっと休業してるよ。でも、今日はたまたま俺が用があって来てる。どこから来たの?」
私「東京から」
B「入りなよ」
※Bはベイシー
ひゃ、ひゃ~~音、すごい!
もの凄い音量なんだけど、うるさいわけじゃなくて、劇場みたいな迫力。
透き通った爆音。
これは凄い所に来てしまった。
「ここね」。オーナーに促され、スピーカーの真正面の程よい距離感の席へ。隣のテーブルには男性1人。他にも何人かいてカウンターに座ってる人もいる。誰がお店のスタッフで、誰がお客さんなのかは分からない。
知的で上品な女性店員さんから、「何にしますか?」
メニューは?出てきません。そんなときはコーヒー。
ロゴ入りカップ!
普通の純喫茶でもロゴ入りカップは少なくなってるのに、ジャズ喫茶でロゴ入りが出てきた日には踊りだしたくなります。ましてや、ここは日本一のジャズ喫茶。
ソーサーにも…嗚呼。
小皿にはどっさりチョコレート盛(食べきれず残す)。
ところでこの目つきの悪い謎の生物はなんでしょう?猫?
ジャズには疎いので、これが誰の何の曲などといった事は分かりません。ただ、ジャズはこんなにも気持ちいい!新鮮な驚き。耳だけでなく体全体でジャズを聴いてる感覚。
ヴィブラフォンの高く澄んだ音。どこか芝居っぽく、幻想的かつドラマチック。
こんな世界があったんだ…感動してしまった。
ベイシーは大きく左右2つに分かれているのですが、私が座ったのが左。一番良い音で聞けるスピーカーの目の前、BASIEと名前の入ったドラムセットとピアノも置いてありました。
壁にはズラリとレコードが整然と並ぶ。その様子は一つのアート。美しい。
右側の空間はまあまあ広いのですが、奥にカウンターがあり、手前にテーブル席があり、そこには菅原オーナーと囲む人々数人。
このテーブルは「菅原テーブル」と呼ばれてることを後で知りました。まさに伝説!
オーナー、カリスマ性あります。
私の隣に座ってた男性もしばらくしたら、「すげーな」と独り言を言いながら席を立ち、オーナーのテーブルに移っていったのですが、知り合いでしょうか? それともカリスマに魅せられたファン?
「菅原テーブル」はスターが放つオーラに包まれてキラキラしてましたよ。それこそ映画のワンシーン。
レコードが終わり、無音。え?もう終わり?
しばしの空白の後、レコード特有の針を下ろすバチバチッという音がして、別のレコードが始まりました。
あっという間に1時間たっていた。
伝票を表にすると、1000円という金額。
ん、まあ!そのくらいするわよね。納得の金額。
「いつから再開するんですか?」
お会計のとき、注文を聞きにきてくれた女性に聞くと、「いつになるのか、まだ分からないんですよ」という返事。
ひゃっほう!
下心を捨て無心になった時にこそ奇跡は起きる。
再開する、いつになるか分からないけど、その時までベイシーの映画を見ておかなきゃ!
頭の中ではまだジャズが響いています。完全に浮かれポンチ。ふわふわハイになった足取りで夜の一ノ関の街へ。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
blackcoffee1964
私も以前伺い「ベイシー」の素晴らしさに圧倒されました。再訪を考えていたところ、憎きコロナ禍で叶っていません。
実はエムケイさんが「ベイシー」に行かれたのは意外でした(^_^;)
ですが、ブログを読んで「ベイシー」にハマられた感がたっぷりでしたので、やはり至極のお店なんだなぁと感じています。
営業再開の際には必ず再訪したいと思っています。
映画、是非見てください!
何度でも行きたくなると思いますよ!
2021/12/02 URL 編集
エムケイ
凄い奇跡だと思います。
私の前にドアの貼り紙を見て帰ってしまった男性が気の毒に思えます。
私も普段なら簡単にあきらめるのですが、外まで響く爆音のジャズを聴いてると、すごすご引き返す気にはなれませんでした。
たしかに「ベイシー」に私が行くのは意外ですよね(^_^;)
あんまり本格派のジャズ喫茶には興味がなかったので(もっといい加減なのが好き)、別に入れなくても全然平気なのですが、音楽好きの間では異様に評価高いですよね。感化されました。
そして、すっかりハマってしまった。
ベイシー以来何軒か本格ジャズ喫茶入ってます(笑)
しかし順番が悪かった。結構いいはずなのに、ベイシーには見劣りするのです。
やっぱりベイシーでないと…と思ってしまうのですね。
来年には営業再開されるといいですね。
映画見てみたいです。一ノ関はまた行きたいと思ってますので、その際にベイシーも再訪問したいです。
2021/12/02 URL 編集
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2022/04/28 URL 編集