昨年は熱海だったので、今年の夏はもう少し先まで行こう。青春18きっぷを使って沼津へ。
熱海ほどではないものの沼津にはこれまで何度となく行っており、全部未訪問の純喫茶というわけにはいかず、訪問済の珠玉店を絡めつつ回った。
初訪問となる「珈琲専科 欧蘭陀館」についてレポート。
静岡県沼津市三園町1373
以前はとても熱狂した店も回数を重ねるとそれほど感動しなくなるのは、少し寂しい。2軒の再訪問を経た後、マルティンという外観にインパクトのある喫茶店で一休みし、沼津駅を背に先へ歩いた。
欧蘭陀館は国道沿いにある駐車場付の典型的な郊外型喫茶だった。
こちらは同行者のセレクション。「次は間違いないと思う」という触れ込みだったが、それはなにゆえ? 私はその言葉に疑念を抱いていた(笑)。
だって安っぽいんだもの。コリント式の神殿のような柱が両脇に立ち、それはいいが、もう少し古さが有れば良いが、真っ白過ぎない、これ? レトロ風に造り込んだイマドキの店みたいだ。でも今更引き返すわけにもいかない。とにかく暑い! 贅沢など言ってる余裕はなく、早く涼みたい、その一心で死ぬ思いで入店。
完成度高っ! 不覚にも見惚れてしまった。
作りこみ具合に手抜きがないというか、あまり目につかない細部にまで凝っており、調度品に統一感がある。
綺麗すぎるのが物足りないが、ラブホテルみたいなエントランスとは裏腹に、王道の正統派純喫茶の内装だった。
広く、テーブルはゆったり配置されており、高低差まであるではないか! 通常の4人用テーブルとは別に、中央には大きな丸テーブル。蓄音機は若干わざとらしい気もするが、アンティークな雰囲気には合っている。
何よりも素晴らしいのが、カウンター。
緩やかなS字を描いており、中央の円卓と見事に調和し、曲線×曲線は動きを生み出す。
郊外型大型喫茶にありがちな妙なテンションの高さというか、ファミレスチックな雰囲気もなく、明るすぎず暗すぎず、丁度良い明るさでとても落ち着ける。
BGMは静かなクラシック音楽(←抜かりなし!)。
店主はレトロな純喫茶ファンなのかしらん? おかしな路線には走らず、正しい方向に進んでいる。これが本当の正しい純喫茶のニュータイプ。
大きな水出しコーヒーの機械もあり、コーヒーへのこだわりも感じる。
こちらはメニューの一部。
ブレンド、ストレートコーヒー、バリエーションコーヒー、種類が豊富。
ランチタイムに入ったが、他のお客さんは食事をしていた。食事メニューも美味しそう!
あいにく飲み食いしながらここに行き着いたので、胃の隙間が固形物を受け入れる余地はなかった。
ハニーコールドコーヒー。
これが驚くほど美味しい! 雑味ゼロの透き通った味、しっかりと蜂蜜の味もする。どうやらベースは水出しコーヒーらしい。店名の欧蘭陀(オランダ)館は、ダッチコーヒーが由来のようである。にしても美味しいなあ。暑い中ここまで来た甲斐は充分あった。
新しい喫茶店もなかなかやるものだね。
ところが後に私は知る。そして言いたい放題の我が身を猛省。
創業1975年という40年以上営業する老舗だったのだ。レジに置いてあったマッチには「珈琲専科」という昭和そのものの冠も記載されていた。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
ねこもみ
なかなか素敵な喫茶店のようですね!
水出しコーヒー、飲んでみます。楽しみです。
2021/06/17 URL 編集
エムケイ
駅から遠いのですが、駐車場があるので、車だったら行きやすいと思います。
内装も良いし、コーヒーも美味しいし、広さもあるので、皆思い思いに時間が過ごせると思いますよ。
2021/06/17 URL 編集