大好きな喫茶店が閉店していた。
それを知ったのは、ユニークな活動をされているとある方のInstagramの投稿。あれから7~8ヶ月経っているが、なぜか急に思いだしてしまった。この店のことは何年も自分専用の振り返り記事として非公開のままだったが、このまま埋もれていくにはあまりに惜しい店なので、このたび内容を一新し公開する。
まずご覧いただきたいのは、下記の外観写真。
これは営業時間外のものだが、気配のなさは典型的なプロティアタイプ。これを見て喫茶店と認識できる人は相当な達人。
絶対無理でしょ? 分かる人いないでしょ? 普通の家だよね? 絶対スルーするよね?
少なくとも私は分からなかった。
喫茶店友から、「スカイツリーの近くにポッコという喫茶店がありとても素敵だからぜひ行って欲しい」と言われていて、大体この辺かな?と適当にウロウロ30分以上歩いたが見つからなかった。
そこで後日同行していただき、店まで案内してもらった。この日も閉まっていたのだけど(^_^;)
ま、営業時間外の気配の消え具合はしかと確認できたので、いつか自力で訪問しようと機会をうかがい、正式に訪問したのはそれから2ヶ月後。2012年9月1日の土曜日。
参考までにこの日の喫茶巡りはというと、京成立石「純喫茶パール」⇒「ポッコ」⇒住吉「みどりや」⇒蕨「クラウン」。いずれも初訪問にして、この充実ぶり。あの頃に戻りたい。
では、これから一気に写真を並べていく。
カーテンのかかった青い扉を見た瞬間ときめいた!
ああ、教えてもらっててよかった。入る前から一発で好きになった。絶対中も素敵に決まってる。
興奮しながら外部を隔絶する閉鎖的な扉を開けると、思ってた通り素晴らしい空間がそこにあった。
純喫茶巡りで出会いたいのはこんな店!
一瞬で純喫茶好きをうならせ黙らせる力は内装にこそある。外観なんて地味でもいい。むしろそのギャップこそが興奮を高めてくれる。
整然と並ぶ青いチューリップランプは人工的な冷たい光を発していた。
薄暗くひっそりとし、作り物めいてまるで舞台セット。鬼気迫るオーラ。
喫茶店とは本来単にお茶する場所で、日常の延長線上にあり、殊更おおげさにとらえるのは純喫茶好きの悪いクセだが、それでもやはりここは特別な店だった。
純喫茶らしい理想の純喫茶に出会えた興奮から、私には珍しくクリームソーダなぞを注文してしまった。コースター代わりだろうか、キッチンペーパーを下に敷いて出してくれた。
BGMはテレビで、いわゆる俗っぽい番組がかかっていた。
レジの中には幼児用の遊具が置いてあり、わーーーと言いながら、店主のお孫さんが店内で遊んでいて、全然静かでもなんでもなく賑やかだったはずなのに、その音がすっかり飛んで、でもその映像部分だけはしっかり記憶されている。無声映画の印象なのだ。
どんな素敵な純喫茶でも初見の刺激には敵わない。普段は再訪問には気乗りしない私だが、この店は例外的。魔法にかかったようにその後2回訪問している。
ランチ(2014年11月15日)
いわゆる家庭で作る中辛のカレーだが、異様に美味しく、サーーーっと平らげてしまった。あの美味しさには何の秘密があったのだろう?
モーニング(2015年3月28日)
耳を落としたトースト。ゆで卵がほぼ汁くらいユルかった。
「あと半年で閉めようと思ってる」
マスターはそう言ってたが、半年たっても閉まる気配はなかった。ところが時期こそ延びたものの、言葉通りその後閉店。これが最後の訪問となった。
【公開するにあたって】
なぜ何年も公開しなかったかというと、お店の方から写真撮影は構わないけどネット公開はしないで欲しいと言われていたから。あちこちから一見客が沸くのは困る、と。閉店したらいいのかといえば良くはないと思いますが、こちらの店を掲載することができないならブログなんて続ける意味あるのだろうか? そう思い、意を決しての公開。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
あかりのママ
2018/05/06 URL 編集
SHIHO
赤い装テンを外したのには何か事情があったのですかね…。
中の雰囲気が別格で…(*´-`)
ポップな印象のあるチューリップランプですが、青色で統一されていると妖しさと凄みが出ますね。
本当に唯一無二の雰囲気が伝わってくる写真の数々です☆
貴重な記事の公開、ありがとうございます。
2018/05/06 URL 編集
エムケイ
最近でこそクリームソーダを頼むことが増えましたが、当時は滅多に頼まなかったので、よほどこの空間に酔いしれていたのでしょう。
何気にクリームソーダの緑とおしぼりケースのオレンジがマッチしてます。
2018/05/07 URL 編集
エムケイ
せっかくなので記事に投稿写真を追加しておきました。
赤の装テンは私が行った時点ではなくなってましたが、教えてくれた人が行ってた頃はあったみたいで、どうやら劣化で取り外した(それとも自然崩壊?)みたいです。
元々お店の方には、お客さんにたくさん来てほしいという商売っ気のなかったので、そのまま放ったらかしてたんでしょうね。
チューリップも色でイメージ変わりますね。
光洋みたいに暖色系で固めるとポップな雰囲気になりますが、青だと凄みが出ます。
夏場はひんやりと涼しかったです。
この手の店が東京だと現在皆無なので、あらためて唯一無二の空間であることを実感します。
2018/05/07 URL 編集