水戸ではここが一番好き。
年季が入った渋く可愛い内装はもちろんだが、なによりも外の世界と隔絶した、ひっそり感がツボ。
(㐂久水は喜久水)
茨城県水戸市大工町1-3-6
閉店
ホテルや百貨店などが並ぶ国道50号線沿いの目抜き通りにある。
(少し入ると、飲み屋街、ソープ街。歓楽街でもある)
車も多ければ人通りも多いが、ここだけ結界が張られているんじゃないかと思うほど静か。
午前中に下見をしたとき、気配が消えており、もしかして早すぎたのかと思ってたけど、夕方に来ても状況はまったく同じ。
本当にやってるの?
のれんはかかってるけど、なんで店名がないの? 営業中の札もないし、メニューもない。
これ、ちょっと無理だよ><
気分を変えて、「クイーンシャトー」へ。
来るのは2度目だけど、相変わらずこの辺(ソープ街)の雰囲気は慣れない。無言の圧に耐えきれず、1分で退散。
観念して再び「㐂久水」。思い切って木の引き戸を開けてみた。
一瞬、時が止まった。
冒頭でも書いた通り、店内は渋くて可愛い。
何度も張り替えて使い続けているのだろう。こじんまりした椅子は黒ずんでいるが、それが味になっている。背もたれの鋲がいじらしい。色違いでベージュもあるけど、黄色の方がキッチュで可愛い。
和風だが洋風でもあり、戦前の喫茶店のような雰囲気。ミルクホールとか、こんな感じだったんじゃないかな。
少なくとも高度経済成長期よりは古そう。
真ん中には季節外れのストーブ(5月)。もしかして、1年中出し放し?
先客はなく、不安になるほどの静けさ。
「大工町」のバス停がそばにあり、プシュ―という音とともに、バスのシルエットが窓一枚隔て間近に迫ってくる。
ここに居ると、感覚が鋭敏になり、研ぎ澄まされてくる。
ただ、どこか浮世離れしたこちらも、お値段だけはしっかり現代の価格。いや、それ以上……。
「甘い玉子サンド」に惹かれるけど、800円って!
でも喫茶メニューはそこまで高くないのが救い。コーヒーと紅茶が400円、ミルク300円、そしてサイダーだけ異様に安く200円。
どうしようかな~ 何にしようかな~
あんみつ
小ぶりのガラスの器がノスタルジック。
味は…ものすごく普通(笑)。ねっとりした、こし餡が美味しいかな、という程度。
缶詰のみかんとパイナップルが少し凍ってるよ(笑)。量が少ない。これで550円……。
しかしここは、安くすればお客が入るとか、もはやそういう次元の店ではなかった。そこにあること、守ること。存在そのものに、価値がある店なのだ。
閉店した正確な日にちは不明ですが、2021年10月後半~11月上旬だと思います。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
ねこもみ
しかし900円とは、なかなかの良いお値段ですね~。
一度はチャレンジしてみたいです。
余談ですが、以前来ていただいた神栖市のレストハウスオアシスが先日発生した台風15号の影響で外壁が剥がれてしまい、残念ながら看板も無くなってしまいました。
エムケイさんの撮られた写真が最後のオアシスの写真になると思います。
慣れ親しんでいる街並みですが、いつ無くなってもおかしくないものだと改めて思いました。
2019/10/28 URL 編集
エムケイ
にしても、900円は高いですよね?
私だけがセコいんだと思ってました。
レストハウスオアシスも台風の影響で……。
たしかに現役の店ではありませんが、持ち主も夜逃げ同然ということですし、今後は荒れ果てていく一方ですね。
看板も無くなりましたか><
あの看板のぬるい南国感は好きでしたが。
本当に、街の風景も、一期一会ですね。
2019/10/29 URL 編集