【佐原】COFFEE 居郷留（オルゴール）

喫茶店というのは、ありそうな場所になく、なさそうな場所になぜかある。

昭和の雰囲気を漂わす寂れた温泉街、商店街などは、いかにも喫茶店がゴロゴロ転がっていそうだが、いざ探すと見掛け倒しでなかなか見つからない。なのに無機質でひとけのない住宅街、チェーン店ばかりが並ぶテンプレ化した国道沿いに、こっそり潜んでいたり。喫茶店の生息地を簡単に法則化できない。

居郷留（オルゴール）は、後者のパターン。『なさそうな場所』にあった。

駅から少し離れた車しか走ってないような、バイパス沿い。ミナミボウルというボウリング場の看板が目印。4軒並ぶ集合住宅に紛れていた。

居郷留（オルゴール）、軽食喫茶みみ、洋菓子マロン。左端が欠番だが、3軒横並びの佇まいが素敵。

ここは…入って良かったのだろうか？　少し家っぽい。

どこに座っていいものやら悩む。私物が置いてあったり、座るには狭かったり、座れそうな席は一つしかなかった。

引き返そうか、どうか迷い、店内をウロウロ

でも壁に飾ってある可愛らしい絵を見て気が変わった。

居座ることに決定。

ショーケースには食品サンプルではなく、コーヒー豆が並んでいた。豆の挽売りをしているらしい。

この写真では分かりにくいけど、右には亀のはく製が飾ってある。

こちらは鳥のはく製。

なぜか喫茶店には、はく製が置いてありがち。

短歌（それとも俳句？）も飾ってあったり、ちょっと雑然としてるかも……。

職人的な雰囲気の男性店主から、「何にしますか？」。

たしかメニューは渡されてなかったような？　きっとないんでしょう(笑)。

コーヒーだけしか出さないのかも、と勝手に深読みし、コーヒーを注文。

味は覚えてないけど、普通に美味しかったような。お菓子付き。

居心地はどうだろう…。どうにも落ち着けずソワソワした。客は自分だけ。店構えからして、たしかに入りにくい。一見客はあまり入ってこなさそう。

そんな店にわざわざ入るなんて、怪しい客だと思われてるんだろうな……。

もし、都内でいつでも来れる場所なら、何も話さず変な客のまま店を出ただろう。しかし、ここは佐原。そう簡単には来れない。せっかく来たんだし、と店主に話しかけてみたところ、快い反応がかえってビックリ。

やはりこの可愛い絵について聞きたい。

銅板にエッチングでファンシーなのは珍しい気がする。こちらはマスターの娘さんが描いたもの（聞き間違えてるかもしれない。お孫さんの可能性も？）。

きっとモデルとなる原図があるのだろう。同じ絵柄のマッチを全然関係ない別の店からいただいているので。

さて居郷留（オルゴール）のマッチについては……

「この絵と同じマッチがあったんだけどね、全部捨てちゃった」だって。