こんな喫茶店に入りたかった。
上野から1時間半かけ石岡の「珈琲 マツ(coffee shop matsu)」を訪れたが、その甲斐は充分にあった。
茨城県石岡市府中1-3-5
こちらには2年半前に一度フラれている。
土日休みに変わったのだった。あーそりゃ厳しい。交通費の問題もある。平日に回るなら、都内で行けてない純喫茶を一網打尽にする方がよっぽど安上がりで有意義ではないか。
純喫茶というあってもなくてもなんら影響のないオプションに人生を賭けている(?)割には、費用対効果など考え、夢がない話だが、私には心の赴くままどこまでもといった貴族的な生き方は許されないのだった。
が、ここで青春18きっぷのシーズン到来。
行っちゃう? 念のため直前にお店に電話し、営業してることを確認。この機会を逃さず、上野8:22発の常磐線快速に乗り石岡9:58着。18きっぷのお得感と引き換えなので仕方ないとはいえ、特急でないので時間がかかってうんざりした。
やっぱり都内でよかったんじゃないか、この期に及んでも未練たらしく、カンカン照りの強い日差しの中石岡駅からからだらだら歩いていていたが、いざ営業中の姿を目にすると、そんなの全部吹き飛んでしまった。
このスケール感よ!
何度でも言う。
こんな喫茶店に入りたかった。
思い描いていた以上に素敵な喫茶店だった。ここに来るまでは、果たされぬ思いが妄想を肥大化し、美化してるだけじゃ?との疑念もあったが、平日に一日都内を回っても、これだけの店に出会う可能性は極めて低い。というか、ゼロ? 東京にも負けず劣らず素晴らしい純喫茶はいくつもあるが、初訪問できる店が残っていない。もちろん再訪問の良さは承知している。何度でも噛みしめる安定した穏やかな喜びがある。だが悲しいかな、初めてすべてを体験する新鮮な驚きや感動には敵わないのだった。
おお、高低差。客席は1階、半地下、中2階と3つに分かれ、吹き抜けになっている。私が一番好きな造りである。高い天井から垂れ下がるペンダントライトも高さが少しづつ異なり、動きがある。いくら眺めても飽きることなし。カウンターも素晴らしい。背が高く、上部がファザードになっており、なんだかエリンギっぽい?
壁は贅沢にも細かなモザイク状。間近で見てないが、勝手に素材は石だと思っている。
広い空間ながら、状態が大変良く、掃除も行き届いていた。
どこに座ろうか? 入口でうろうろしていると、ママさんから朗らかな口調で、「お一人ならこちらがいいんじゃないかしら?」と1階の窓際の席に案内された。
中2階、半地下も気になったが、入ってからぽーっとしてしまい、素直に勧められた席に座った。
座ってから気付いた。店の真ん中を階段が突っ切っているが、これは上下方向を繋ぐと同時に、左右方向を仕切っている。階段がパーテーションの役割を果たしている。向こうにいるお客さんの声は聞こえど姿は見えず。
朝はコーヒーと紅茶程度とのことで、アイスコーヒーを。
「よろしかったらどうぞ」と煮物を一緒に出してくれた。カボチャ、ワラビ等を煮たもので甘辛い味付け。サービスには勿体ないほど美味しい。
入店時はBGMがラジオ。これはこれで悪くないが、途中から荘厳なクラシック音楽に変わった。格式とまで言えば大げさだが、特別でよそ行きの空間にいることを改めて実感させてくれた。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
カカポ
す、すごいです。
なんという贅沢な設計でしょうね。
壁のデザインが部分毎に違っていたり、
ホント 高低差がすばらしい!
カウンター上のエリンギ(笑)とかも 規格外ならではのユニークさがありますね。
無駄と夢と遊びの詰まった空間。
私はこの感じのデザイン見ると、お昼にテレ東でやっている70年代アメリカ映画思い出します。
2016/08/17 URL 編集
エムケイ
私と同じところに目を付けましたね!
真っ先に目に留まるのは高低差ですが、じっくりと目が慣れてくると、壁のデザインにグッとくるんですよね。
とても贅沢だと思います。
>私はこの感じのデザイン見ると、お昼にテレ東でやっている70年代アメリカ映画思い出します。
70年代のアメリカ映画ですか?
たしかこの場所は、「ALWAYS 三丁目の夕日」のロケ地にもなったそうです。
映画的にも映える純喫茶なんでしょうね。
2016/08/21 URL 編集