【町方】真珠貝

覚えているだろうか？

「純喫茶パールを見つけたら迷わず入るべし」
「パールに外れなし」
の法則を。
これまで紹介してきたパールがことごとく珠玉だったことを。

【過去出会ったパール】
①広島 ②京成立石 ③大阪・花園町 ④新潟・長岡

個人的には日本語の真珠の方が、字面といい響きといい、より純々している気がする。

そして貝。真珠貝。甘美な想像を掻き立てる店名である。

その純喫茶は名鉄町方駅から徒歩5分の場所にある。藤浪駅からもそんなに離れていないので、乗換の面倒さを考えたら、藤浪からアクセスするのもありかもしれない。

国道？　県道？　町方駅から一直線の大きな通りの先に見えてくるその姿！

なんなの？　あの塔みたいなのは！　凄い！　凄い！　凄い！

もう失神しそう！

一瞬にして、ここが海に浮かぶ孤島になった。

圧倒的なオーラ。今すぐにでもひれ伏したい。

どうも私はこういう誰が見ても分かる普遍的で古典的なもの、重厚な雰囲気に弱い。

おおう！　いきなりのアール攻撃！　ブランケットステッチというかファスナーみたいな縁取り。

純喫茶必須のショーケース。

ドアには真珠貝。私は生きて帰れるのだろうか？

店内も期待を裏切らず！

オレンジのペンダントライトに精気を奪われる。縁のフリルがどことなく真珠貝めいている。レジカウンターだけ色違いの緑。

何か所かに設置されたストーブは転落防止だろうか、囲いに入っている。上に乗っている薬缶もいいね。

見上げると天井の模様も真珠貝。

トースト、バナナ、ゆで卵、ツマミ（楽茶待夢）のモーニングサービス。

7：30～11：00　※朝6：30から営業。モーニングまでの1時間の時間差は準備の時間？

コーヒーカップにも店名入り。真珠貝のマークが素敵。

なぜかスプーンは穴あき。

メニューはライター立ても兼ねたくるくる回るタイプ。

朝8時頃に訪問したが、すでに窓際は常連さんでそこそこ賑わっていた。ここで窓辺から初日の出を見ながらコーヒーが飲めたら最高だな、と妄想してみた。

特筆すべきはBGMが三味線のインストで、途中『天城越え』になったこと。頭の中は石川さゆりで一杯（微笑）。

あとね、ついでだからもう一個言っておこう。オレンジのペンダントライトなのに、窓のカーテンもオレンジなのも。保護色みたいで、せっかくのライトが窓際だけ存在が薄くなってしまう。

注文つけすぎ？　だって逆に言えば他が完璧に素晴らしすぎるんだもの。本当にどうでもいい、重箱の隅突っつくような細かなツッコミぐらいしたっていいじゃないか！

愛知県なのに伊勢志摩感が漂う真珠貝。朝から陶酔しながらの朝食。本当に来て良かった。こんな純喫茶がまだ残っていることに心から感謝したい。

「私らからすると、ただ古いだけの店なんだけどね。でも、なんか嬉しいわ」

お店の女性は言った。