金沢よりも小松! 小松推し! あくまでも純喫茶目的に限定されるけど。
知らないだけかな? 金沢駅前に純喫茶全然ない! 一方小松ときたら、駅前に純喫茶がコンパクトに集まる理想卿。実際、福井に移動するまでの短い滞在時間に3軒訪問でき、その上、いずれもハイレベル。このうち2軒をレポートしよう。
まずは、「TEA ROOM 泉」。私の中で殿堂入りした純喫茶ローレンスを除けば、石川県最高峰。純喫茶アートの博物館である。
石川県小松市飴屋町20
場所は飴屋通りという寂れたアーケード商店街。多くの店が閉まっているシャッター通りで、昼間でも人通りが少なく、リアルに閉店Sale中の婦人服店の姿が象徴的だった。その中に渾然一体となり溶け込んだ古い建物の一画。
看板が只者ではない。「EA」「OO」を二段にするセンス、泉の字。秀逸。
のれんをくぐった瞬間、泉ワールドに突入。
シュールすぎて、コメント不可。
アプローチの途中にまで滲み出る世界観。
キタ! コーヒ! コーヒーでなくコーヒ。このノリでココアをココアーにしてくれないものか。
なんとも味わい深い手書き文字。
はて、入口はどこ? まっすぐ進むとコカコーラの看板があるが、普通のお宅の玄関みたいだし(^^; と思い、うろつくと、あった!あった!それらしき扉。
Izumiが彫り込まれた取っ手をギィと押す。
カウンターではママさんが常連さんと話し込んでいた。
先客がいることに驚き、パーテーションの陰の席に座る。
「できないものの方が多いですが」 メニューを手渡しながらママさんによる補足説明。想定通り( ̄ー ̄)ニヤリ
アイスコーヒー、じゃなかったアイスコーヒは後から書き加えたっぽく見える。位置が不自然だもの。
コーヒのソーサーには嬉しいロゴ入り。肝心の味は…忘れてしまった。
窓の向こうには庭。
庭が眺められるのは嬉しいが、陽が眩しい窓辺。
絵を始め店内のあらゆるものが15年前に亡くなったご主人の手作りだとママさんが教えてくれた。たしか暖炉や壁の絵も。
そういえば、荻窪邪宗門もそうだった。看板から店内に飾られている絵まで、故人であるマスター作。
荻窪邪宗門にもマスターが模写したゴッホの『ひまわり』の模写が飾られているが、ここにも! ひまわりという共通点。
ラッセンだけは、さすがに違うと思うが…
無造作に置かれた造花にしても
デカダンスな床にしても
昭和レトロを飛び越え骨董品の域に達した扇風機にしても
英字新聞を貼った天井にしても
渋い純喫茶アートで満ち溢れている。両国「ホルン」、沼津「ケルン」あたりが好きな人はハマりまくる世界観。
屋根付きカウンター! 最っ高!!!
そして、のれん。玉のれんを見るとテンションが上がる体質だが、これはそれ以上! 純喫茶界では国宝級のセンス。渋すぎてくらくらきた。
あああ、toiletに入らなかったのは一生の不覚。
「買えば3,000円位のものまで作ってたんですよ。かえってお金がかかったくらい」とママさんは言うが、いくらお金を積んでもこの世界観を作れる人はいないだろう。だからこその自作では?
BGMはテレビ。『なんでも鑑定団』放送中。ふと、思った。結構良い感じの純喫茶で、何度かなんでも鑑定団を見ていたが、これって単なる偶然だろうか? もしや、骨董好きという趣向ゆえだったりして。どうでもいい事だが。
泉の字は裏側も同じ。いつでもじっと見ている。私の恐怖の対象ジャノメチョウの羽の模様のように……。
「この取っ手も作ったんですよ」
私からすると、純喫茶アートがぎっしり詰まった宝箱であった。ただ、ママさんにはその価値に自覚はないように見え、そこがまた私の琴線に触れた。
もう一度訪れたい気持ちは強いが、それでいてこれが最後な気もしている。なんとなく。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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