伊東は熱海と同じく人気の温泉街である。
ところが、熱海の純喫茶が超珠玉揃いなのに比べ、伊東ではそこまでの店に出会えていなかった。もちろん良い時間を過ごせたのは事実なんだけど、こう一言で言えば「爆発」がなかった。
が、「コーヒー&軽食 クーペ」と出会った瞬間、これまでずっとグズグズと燻っていたものが、一気に爆発した。
静岡県伊東市桜木町2-4-10
M-1に例えてみれば、クーペとの出会いはM-1グランプリ2006のチュートリアル登場みたいなものである。その位の衝撃度。(若干例えが古すぎたかな?)
南国レトロなアーケードの一画、路地を挟んだたばこ店の隣にある。
外観のみで判断するのは尚早だと分かっているが、もう当たりも当たり!大当たり!を確信。
少し壊れかけたチモトコーヒーの看板、鄙びたオーラを出しまくるショーケース。
出窓にはローレンス流に言えば、”枯れた草花”
初見ではかなり近づき難いオーラが出まくっているが、これこそ純喫茶の風格と云えよう。もしかしたら、ここが私にとって伊東市暫定ナンバー1純喫茶になるかもしれない。
基本、私が何のツッコミも入れず、一気に店内写真を並べるときは、空気に飲み込まれ圧倒されているときである。
かなりな純。純度が濃すぎて、おののいている。
冷静に見れば、特に珍しい内装ではない。紅いベルベットの椅子、沢山の造花、目隠しとなる観葉植物等。どれも、どこかの純喫茶にありがちなアイテムだが、空気がとにかく濃い。
風格ある外観の印象からすでに始まっていたが、その独特の純度の高さがずっと続いている。
髪の毛の白くなった女性が、貴族の仰ぐ羽扇のようなフワフワしたすすきのそばの席に座り、テレビを見ていた。
窓際の席に座ろうとしたところ、「どうぞ」と言ってくれたのに安心し、緊張がどっと解けた。
純喫茶基本のきの字。灰皿とタオルのおしぼり。シュガーポットはあったかどうか…忘れた。
喉がカラカラに乾いており、冷たい飲み物が飲みたい。そう思い、メニューを探したがなく、訊いてみると、コーヒー、アイスコーヒー、コーラだけだという返事が返ってきた。
す、すてきだ!
本来はフード、ドリンクメニュー共に迷うほど種類の多い店が好きだが、あまりに純度が高い店の場合はその限りにはあらず。むしろイメージ通りの純喫茶度を保って欲しい。お店が私に合わせるのではなく、私が店の流儀(多少の不便さ)に従いたいとまで思う(ドM?)。
コーラ。瓶で出てくるとなぜか純喫茶度が上がる気がする。
ただし、グラスにはwhiskyの文字。ここだけは譲れないスナッキー。
1つだけ贅沢を言わせてもらえば、BGMがテレビというのは現実的すぎていただけない。たまたま懐メロ系の番組だったのか、チェッカーズの「I Love you,SAYONARA」が流れていたりとリアル昭和ではあったのが救いだが。
トイレはカウンターの奥にあるのだが、その手前に謎の畳敷きの座敷があった。
創業年は聞き忘れたが、たしか40年以上だと言ってた気がする。レトロで可愛いレジスターの横には、年季の入ったコーヒーミルが置かれていた。今でも現役だとのこと。
うっかりコーラにしてしまったが、コーヒーにしておけばよかったと軽く後悔。
最近はできるだけ店名の由来を訊くことにしている。店名のクーペの由来について伺うと、ご主人が車好きで、そこから取ったとのこと。
正確なところは忘れてしまったが、コーラのお代は300円だったか350円だったか。とにかく安かった記憶がある。
伊東市暫定ナンバー1純喫茶はクーペに決まり。
【追記①】2021年11月~12月頃閉店(お店の人に電話口で2021年11月に閉店したと聞いたが、12月に訪問した人の話も聞いてるので11月か12月のどちらか) 【追記②】現在営業しているとの報告あり(2024/03)
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
bonnet
あの界隈の雰囲気ははいかにもありそう、、なんですが、けっこう閉店してたりして、たまたまやってたのがハイスペックだったので良かったですね。意外に生活感もあって、その純度と生活の混じり具合が吉祥寺のグリーンヒルを彷彿とさせます。(まあ、生活感のない純喫茶はほぼない、んですが、、)私は季節柄アイスコーヒーを頼んだのですが、結構安かった記憶が。やっぱり、都内とは随分価格もちがうんですね。
2014/12/23 URL 編集
エムケイ
って、えっ!ご存知なんですか!
ハトヤ&クーペとは黄金のコンビですね。
とてもうらやましい。
そう、あの純度と生活感の混じり具合がね。
丁度ドンピシャ!
あの辺りありそうでないですね。
「サボ店」という喫茶店?を探したけど見つかりませんでした。
2014/12/23 URL 編集