長岡の後は三条に移動。目指すは「純喫茶 ゆり」。
ほぼ店名のみで行くことを即決。だって、百合だもの。花の名前は喫茶店名の王道カテゴリー。しかも頭には純喫茶が付く。
もう行くしかないでしょ!
新潟県三条市南新保2-17
三条駅前一等地で幅をきかせているのは、ヒラヒラしたアール装飾を施したレトロモダンな建物。
サカイボウルなるボーリング場。夜には電飾がギラギラするのだろうか。これ、少なくとも40年以上は経ってると見た。
ここから徒歩5分ほど歩く。途中、喫茶店は1軒も見かけなかった。
かなり年季の入った「純喫茶ゆり」の看板。豪雪地帯を耐え忍び何十年ここに立ち続けているのか、紐で補修されながらけなげに佇む。純の文字だけ大きく目立たせてるのが素敵。
外観は少し変わっている。
ツートーンで、入口に斜めのスロープが付いている。カッコいいと思う。
実はこのとき辺り一帯ガガガガ工事中。店の前もそうで、外観の写真をかなり無理めなポーズで撮っていたりする。
では、いざ店内へ。
息つく間もなく一気に写真を羅列。これはそっくり私の心象風景。思わず言葉を失ってしまった。
美しいが、渋い。ウッディーだが、エレガント。
長岡の「純喫茶パール」「シャルラン」と比べても遜色ない内装。本当に素晴らしい!
黒の艶々したテーブルには、ステンドグラスが映り虹色に輝く。見ていると、吸い込まれていきそう。ここにコインを一枚落としたら、沈んでいったりして…。
テーブルの形状には特徴あり。細長い台形を横向きにした形。左右の辺の長さが異なる。これまで他の店では見たことないが、オシャレだと思う。
長岡では2軒続けて珈琲を飲んだので、気分を変えてレモンジュース。ビタミンC補給目的含む。きちんと天然レモンの味のするものだった。
店を切り盛りするのは、上品なマダム。
「うるさくてすみませんね」 外の工事のガガガガ音について詫びられた。
最初物静かな方だと思っていたが、ボールを投げるときちんと投げ返してくれる方で、次に移る前に時間があったので少しお話をうかがった。
この辺りも昔は純喫茶がビッシリあったが、今はこちらだけになったとのこと。50軒あったと言っていたような気がする。今の三条からは想像できないが、純喫茶全盛期の話だろう。三条では唯一の純喫茶となったこちらの店でも、今は常連客が来る程度だとのこと。
木目調の壁と言い、ステンドグラスといい、細工の美しいパーテーションといい、ランプといい、隅々まで凝った内装は、亡くなったご主人が設計したもので、カウンターの丸いペンダントライトにしても秋葉原で購入した、という話。
なるほどご主人が…。一度お会いしてみたかった。
一つ聞きそびれたのは店名の由来。何度も引き合いにして申し訳ないが、純喫茶の店名を10カテゴリーに分類でも書いた通り、花の名前は喫茶店名の王道中の王道である。
実際にも石神井公園の「リリー」、閉店したが飯田橋駅前「白ゆり」という、スペシャル級の純喫茶があるくらいで、ゆり自体は特別珍しくはないが、だからといって「ゆり」はあまりに直球すぎる。第一呼びにくい。 「これからゆりに行ってくる」「10時にゆりで待ち合わせ」とか言うのかね? 違和感ある。リリーとか白ゆりとかの方が普通に呼びやすい。
もしかしたら、ゆり好きな地域?
そういえば、この前に入ったシャルランにもゆりの切り花が活けてあったし……。偶然といえば偶然だけど、こういうちょっとした疑問点をほっとけない性格。
で、調べてみると、なんと! 三条市や長岡市に隣接する魚沼市は、全国でも有数のユリの産地だった。魚沼はコシヒカリだけじゃなかった。ユリまで! 地域的に身近で馴染みのある花がユリなんですね。
ただし、これが由来なのかはあくまでも推測に過ぎないので、あしからず。意外に、マダムの名前が「小百合」「ゆり子」といった、個人的でスナッキーな事情だったりして。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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