「レストラン 鮮笑」は純喫茶の雰囲気を漂わせていた。
ふんわりした水色のカーテン、青が濃いガラスのドア、カリグラフィーなSensho。
どことなく哀愁のあるその姿は、超絶レトロな月江寺の街並みにしっとりと溶け込んでいた。
山梨県富士吉田市下吉田322
閉店
レストランだからといっておそるることなかれ。洋食屋のつもりで入ってよし。
ショーケースに並ぶのは、庶民的な洋食のサンプルだし、「雲水うどんセット550円」といった、かなりお得なセットまである。
目の前はこれまた月江寺の風景には欠かせない「月の江書店」。
テーブルには白いクロスがかかっており、昔ながらの洋食店の雰囲気。陽がささないが壁には窓が等間隔に並び、両脇には白いカーテン。
ただし、段ボールが目に付く場所に積まれていたり若干生活感が滲み出ている。きっちり整理整頓されているとは言いがたいが、リノベーション○○、古民家○○といった計算された綺麗なレトロより、多少雑多であっても私はこういう雰囲気の方が好きだ。
あ! あっちのカーテンも白! 水色に見えたのは、青いガラスを通していたからだった。
あの天井からぶら下った球体はなんだろう?
ツインの照明も優美。
さて、注文しよう。メニューは見る限りかなり種類豊富だが、何を差し置き気になったのはホットケーキ!
この手の老舗レストランでホットケーキといえば、まず手焼きだと考えて間違いない。喜び勇んでおばあちゃんマダムに注文したところ返ってきたのは、
「ホットケーキは今お休みしてるんですよ」
ガーーーン! 今、今休み? 夏だから?(訪問したのは7月) ショックだが仕方ない。ならば、こっちはどうだ! カニサンド。
ところが、こちらもない。あれもない、これもない。いっそお勧めを聞いた方が早い。
「カツサンドがお勧めです」
カツサンドか…。いくらなんでも、私には重すぎる。第一肉々しいのは苦手なのだ。
ミートソースにしてみた。肉が細かいので。
ミートソース?
想像したビジュアルと違い、ソースが茶色い。自家製ソースらしいが、トマトソースを期待してたので少し残念。
皿は店名入り。
ちなみに紙ナプキンも店名入り。嬉しい! なかなかこれだけ揃ってる店ないもの。
「サービスで」とマダムの息子さん?がアイスコーヒーを出してくれた。
食後は店内の写真を撮らせていただき、外の看板と同じデザインのマッチをいただき、さらにショップカード(あるの?)までいただいた。
カードによると、創業は戦前。レストラン形態になったのは東京オリンピックの年(1964年?)。ソースなども手作りにこだわっていて実直なおいしさ。カツサンドとカレーが特に人気。
あ~~~ 今となっては遅いが、肉々しさをおそれずカツサンド食べてみれば良かった。
店を出てから外観の写真を撮っていると、マダムの息子さんらしき男性が追いかけてきて、富士吉田市内の観光マップをくれた。
これまでを振り返っても、外まで追いかけてくる店はいつまでも印象に残る。もちろん良い意味で。
ではもう一度喫茶富士に行ってみよう。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
bonnet
しかしやたらメニューが充実してたのが面白かったですね。あれ全部できるのかなあ、、なんて思ってましたが、やっぱり全部はできないんですね。。
月江寺周辺はご存知の通り、営業してる店が珍しいくらいで、客もやっぱりいない状態だったんですが、平日どんな感じなのかは気になりますね。案外地元の社交場になってる?のかも
2014/11/24 URL 編集
エムケイ
実は私もミートソースとナポリタンとどちらかにしようか悩み、結果ミートソースにしました。
メニューは充実してましたね。
多分、あの辺りが織物で栄えイケイケだった時代は全部作っていたのでしょう。
さすがに今はできないものもあるようで…
まるでセットさながらの昭和の街並みは貴重ではありますが、やはり月江寺は営業している店が少ないのですか。
平日どんな感じなのかも気になります。
2014/11/24 URL 編集