「純喫茶 まさお」に行ってきました。
鎌倉駅からバス。水道路で降り、少し歩くと「まさお」。何度同じ事を繰り返したことか。これまでを振り返ると、なにやら感慨深いものがあります。
だって、いつも閉まっていたから。あるはずの看板も消えているし、さすがに閉店したのだと思うようになりました。
ところが、純喫茶まさおを教えてくれた方から、無事営業している、と連絡があったのです。
神奈川県鎌倉市材木座2-6-18
閉店
ただ、少しの間休業していたらしく、現在は時短で営業再開していること。定休日は以前と変わりなく、木曜と日曜だということ。
えっ!? 嘘、嘘、嘘~~!!! 営業してたんだ?
すごく行きたい!
雨の日に行ってきました。なにもこんな日に…って思うでしょう?
違うんだな、これが。雨だからこそ純喫茶で過ごす大義名分ができるのだ(え?)。
私って小市民なんですよ。鎌倉で晴れてるのに、観光もせずに淡々と純喫茶で過ごすなんてもったいない、というか、人から暗いヤツと思われるんじゃないか、とか後ろめたさがあるわけです。
( ´,_ゝ`)プッ 笑いたきゃ笑え!
それが雨だと正々堂々と、純喫茶三昧できる。とことん器の小さい人間…。
さて、自らの恥部をさらけ出したところで、本番。今回は頑張って、早めに家を出たので、着いたのは昼過ぎ。もちろん営業中。
ガラス扉には、神々しい金文字で純喫茶まさお。
隣から伸びた赤い薔薇がハラリと店先にかかって、絵になっております。
窓ガラスに貼り紙。もしや、閉店のお知らせとか?
慌てて、近寄って、読むと、営業日短縮のお知らせで、水曜日定休日になる、との趣旨。たしか木曜日と日曜日定休日だったはずだけど、水曜日に変更になったのかしら? でも営業日短縮?
意味がよく分からない。
とりあえず、今日は営業しているわけだ。入ってから確認しよう…。傘を閉じて、濡れないように、扉を開けた。
んっ!? 扉がフラフラ揺ら揺らしてて、閉めたという手応えがない。せっかく入れたのに、どうでも良いことに気を取られて、入口でもたもたしながら店内へ。そして……
しばらく立ち尽くしてしました。
カウンターの奥には和風庭園。中央には珊瑚の水槽。かと思えば、ゲーム機もある。
どうしよ、どうしよ。どこの席にしようか?
つい最近、近くの材木座海岸から持ってきた海水に入れ替えたばかり。
珊瑚を眺めながらもいいけど、庭を見ながらもいい。でも、あっちはカウンターか。いきなりだとハードルが高い。
うろうろしていると、ママさんより優しく一言。
「どの席も空いてますので、お好きな所へどうぞ」
そうだ! こういう雨降る日こそ、外を眺めよう。
和風庭園にも珊瑚にも背を向け、シャンデリアの真下に座った。
ああ、そうだ。注文をしないと。嬉しさで忘れていたけど、お腹が空いている。純喫茶だけど、お食事はできるのだろうか?
壁にはメニューの貼り紙。ビーフカレー、ハヤシライス、エビピラフ、チキンライス…。色々ある。迷うなぁ…。
ママさんがそばでニコニコしながら、「何にされますか?」。
オススメを訊いた。
「生姜焼きはいかがでしょう?」
生姜焼き…。そうね、それもいいけど。うーん。自家製ハンバーグランチ? これにしよう!
ハンバーグなんて普段頼まないのにね。非日常空間のせいかも。
注文を受けたママさんは、カウンターの奥に消えてゆきました。
待っている間に、外を眺める。純喫茶まさおの文字が反転し、赤い薔薇がショーケースの植木に垂れ下がっているように見える。
傘を差して足早に去る人、通り過ぎる車、そして自転車で駆け抜けるおじさん。濡れないのかしら?
天井を見上げた。ペルシャ絨毯のような模様。埋め込まれた無数の照明がキラキラしています。
左を向けば、凝った細工のテーブルと椅子。
右を向けばピアノの横には年代物のラジオ。木製のメトロノームが上に乗っています。
本当に、いろいろいろいろ珍しいものがあります。
そのうち、やっぱり。うーん。後ろが気になる。振り返って、見回す。トロフィーも!?
しみじみ、でもジロジロ落ち着きなくキョロキョロしていると、カウンターに居るママさんと目が合いました。
気恥ずかしい、というか、The 気まずい。
竹の木々のそばには紫陽花。時期には花を眺めることができるそうです。素敵!!!
料理中お邪魔になるかもしれないけど、近づいて、実は何度も来たけど閉まっていたこと、でも入れて本当に良かった、本当に素敵なお店です、と思ったことそのまま伝えました。
さらに東京から来たと言うと、「もし今日も空いてなかったら、どうしたんですか?」。
たしかに、普通、そう思いますよね。(^^;
「ええ、そのときはそのときで諦めます」
これは本当の話。もしかしたら、事前に電話で営業してるか確認してから来ればいいのもかもしれない。でも、できるだけそれはしたくない。事実、過去に一度だけしかありません。聖蹟桜ヶ丘の邪宗門(2012年10月25日閉店)に訪問したときだけ。
入れるのも縁なら、入れないのも縁。だとすると、ここにこうして居るわけで、純喫茶まさおとはご縁があったのだろう。
ハンバーグを食べながら、外に向かって念力を送った。お客よ、お客入ってこい、って。雨もひどいから、厳しいかな。
…と思っていると、車が1台とまる。
2人組のお客さんが入ってきました。
食後の珈琲を飲んでいると、今度はお客さんが1人入ってくる。
雨でも、お客さんは来るものなんだなぁ!
私がどこの席にしようかうろうろしてたときには、「雨だし、今日はお客さんは来ないかもしれませんね」とママさんですら言ってたのに、ファンは雨でも来るようです。
面白いのは、皆が皆、「で、定休日はいつなの?」。貼り紙を見て、定休日を確認しているのです。というのも、貼り紙は定休日と営業日が2段上下になってて、何が何だか。私もイマイチ定休日が理解できなかった(笑)。最終的には「水・木・日が定休日」ということで皆さん(私も含め)納得してました。
【追記】定休日はその後また変更しています。
「紛らわしいから、この貼り紙はがした方がいいかも」とお客さん。
それに対して、「そうねぇ」。おっとりと穏やかな笑顔を浮かべるママさん。
この一連のやり取りが印象深い。
「ここからだと水道路からバスに乗るのが一番近いですよ。何度も来てるから、知ってるかしら」
そんな話をしながら、ママさんは入口まで見送りに来てくれました。
いつまでも、いつまでも、見送ってくれました。
振り返ると、ガラスを通して、にこやかなママさんの姿が見えた。
純喫茶 まさお マッチ (2013年) ※画像をクリックするとマッチ側面が見れます。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
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https://kamakura-life.net/open/
2021/03/31 URL 編集
エムケイ
お知らせいただきありがとうございます。
2021/04/02 URL 編集