阿佐ヶ谷には古い喫茶店が多く残っているが、その中でも「珈司」はあまり中央線らしくない。
正確には、他の喫茶店の中央線濃度が濃すぎるから、相対的にこの店の中央線度が低く見えるだけなのだが。※濃い例:gion(ギオン)、ヴィオロン
東京都杉並区阿佐谷南1-35-18
阿佐ヶ谷の別の住所に移転
中杉通りという目立つ通り沿いにあるにも関わらず、うっかりして何度も素通りしたことがある。ひっそりした佇まい。
油気のない色の抜けた庇だけが、かろうじて喫茶店であることを示している。
「珈琲を愉しむ店」
このフレーズには店のすべてが込められている。楽しむでなく、愉しむなのがミソ。閉店してしまった西荻窪にあったプロティアの「珈琲ノ店」のように。
潔いほど無駄を排しすっきりした店内。
ゆったりした配置に似合わぬ、小さな机。ランチを出す店なら幾分狭くも感じるが、珈琲を愉しみ読書をするならこれで充分。
当然のことながらBGMはなく無音。
タイミング良ければ、カウンターで繰り広げられる常連のおじ様とマスターの熱い談義が最高のBGM。
奥の壁には棟方志功の絵が飾ってある。
「本物ではないですが」とマスターは言う。
こんな枯れた外観なので、G3マスターかと思いきや意外に若々しい方である。
ブレンドコーヒーは250円。
ウィンナーコーヒーは350円。
ゆらりと浮かぶクリームは甘さ控えめで、滑らかにコーヒーに溶け込んでいる。
初めてメニューを見た時は驚いた。とにかく安い! どれもが安い! ブレンドが250円って異様に安くないか!? こんなに安いならと、普段滅多に頼まないウィンナーコーヒーにしてみた。お試し感覚で。それが思いのほか私の好みで、以後ずっとウィンナーコーヒー。
一回ぐらいはいいかな?と初めてブレンドコーヒーを頼んだのは昨年11月。
たしかにブレンドコーヒーも美味しい。でも何か物足りない。
私はここではウィンナーコーヒーでないと満足できない体質になってしまったようだ。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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