【上野】カレー専門店 クラウンエース

純喫茶好きの方に問う！

かつてこちらの店を見かけ、「純喫茶では!?」と近寄りガッカリした経験をお持ちの方はいないだろうか？

何を隠そう、私がその１人である。でもさあ、しょうがないよね。この２階の庇の形、純喫茶そのものだよ。実際、COFFEEクラウンという店名入りのショーケースと喫茶のドアもあるし、昔は喫茶営業もしていたんじゃないかな。純喫茶好きになったばかりで、当時は夢を抱き、いつかは喫茶の扉が開くはず！と信じ、しぶとく様子を見に行き何度も何度もふられていた。あの頃のピュアな自分が懐かしい。

今では、カレー専門店だとしっかり認識してるけど。

かつて上野駅前には聚楽台というド昭和なレストランがあった。

「伊東に行くならハ・ト・ヤ～♪」の上野バージョンの替え歌があってもおかしくない、自分にとっては上野とは切っても切れない存在で、もはや上野の原風景だったが、とうとう一度も訪問せぬまま2008年には閉店していた（無念）。

だから、こういう絶好のチャンスを逃してはいけないのだよ。今こそ入店の良いタイミング。

人波をかき分け、横断歩道を渡り、いざクラウンエースへ。

いかにもカレーといった黄色の看板は、デザインは昭和レトロだが新しく綺麗。

ショーケースの食品サンプルを眺めていると、背後から、「400円だって。安い」と話すのが聞こえた。そんなに安いのか。

ランチ時でもあり、次々と人が吸い寄せられるように入っていく。

券売機で食券を買うシステム。値上げのタイミングを失ったのか全体的に安かった。肉が苦手な私はコロッケカレー（470円）にする。千円札を入れお釣りを取り、席に着こうとすると、「まだお釣り出ますよ」と店員さんから声をかけられた。うっかりしていた。30円しか出ていなかった。後からジャラジャラと100円玉が5枚出てきた。

客席はカウンターオンリー。皆が揃って背中を向けてカレーを食べる様は壮観。満席だったが、１人のお客が席を立ち、入れ替わるようにカウンターの隅っこに座る。

店員さんは親切で、忙しいながらも荷物の置き場に困っている私を見て、後ろの台に置いても良いと言ってくれた。カウンターだけの店って荷物置き場に困るんだよね、特に冬場は上着とか。

コロッケカレー。

食券を渡したらすぐ出てきた（笑）。安い、早い、とくれば？

旨いで３拍子だが、さすがにそう都合良くはなかった。ごくごく普通だった。お値段相当の味。それ以上でもそれ以下でもなかった。なんていうとイマイチだと思われるかもしれないが、大体カレーというものは美味しいのである。具は溶け込んでてせいぜいが肉の切れ端（むしろ嬉しい）程度で、コロッケにルーがかかっているだけだが、オーソドックスな家庭の味で、これはこれで美味しい。

店員さんはカウンター内にグラスを一面に並べ豪快にホースで水を入れていた。なかなか見れない光景（笑）。

カレーもいいけど内装もね。照明がほんのりスペーシー。これを見るためだけでも入る価値は充分あり。

BGMは飲食店ではかつて経験ないほどのド昭和ぶりだった。昭和歌謡？　ジャンルに統一性はなく、昭和は昭和でも時代がバラバラだが、ガチな昭和ソングが流れてて、なかなか印象深い。スナックで人気の（多分）デュエット曲『居酒屋』まで。

なぜか集団就職という言葉が頭に浮かんだ。

出入り口はもう１つある。

こちらが私に何度も足を運ばせる拠り所となった喫茶のドア＆ショーケース。

純喫茶「ギャラン」の向かいあたり。

ここからが本番。束の間の上野レトロを満喫した後は、京成の特急に乗って成田へ。