【桜山】ボンボン 桜山店（閉店）

わき道に完璧に保存された、昭和場末の匂いにシビれる。

なぜこちらを一番最初に紹介するのかというと、モーニングの内容が基本的なものであり、それでいてバタートーストが非常に美味しかったから。

2か月経っているが、その美味しさは今でも思い出せる。

このボンボンの字体に見覚えがないか？

以前高岳のボンボンを紹介したが、こちらは桜山店になる。

入口の石壁には、格式高い立派な王冠と店名のレリーフ。

中2階と半地下に席が分かれていたが、大型テレビのある中2階はお客さんでいっぱいだったので、半地下へ。

先客ゼロ。

簡単に言ってしまえば山小屋風の内装で、壁や柱に木が使われている。

照明が素敵。

高岳の本店の正統派の雰囲気も好きだが、こちらの桜山店もなかなかのもの。場末感と、より地域密着的な感じが私の琴線に触れた。好みなのである。タイプが違いすぎるので、どちらかひとつ選ぶのはとても難しい。両方選んじゃダメ？

さて、モーニングを注文することにしよう。

だが、「モーニングをください」と口にすると、ヨソ者であることがたちまちバレてしまうのでご注意。

名古屋ではいちいちモーニングなどと口にしなくて、「コーヒー」。これだけで自動的にモーニングサービスのトースト・ゆで卵等が出てくる。岐阜もそうだったけどね。

東京では頼まなければサービスは付かない。名古屋では黙っててもサービスが付く。頭では理解してるつもりでも、染みついた習慣がなかなか消えない！

うっかりここでも、やらかしてしまった。「モーニングを１つ」と言ってしまった。即座に「お飲み物は？」（モーニング当然付きますが、何か？）と聞き返される始末。大阪でエスカレーターに乗るときの左右逆くらい根深い。

コーヒーに、バタートースト、ゆで卵の非常にオーソドックなモーニング。

あれ？　チーズみたいな匂いがする。なんだろう？と思っていると、トーストだった。チーズの匂いのバター。

だが、これがとても美味しい！　うまく説明できないけど、これまで食べたことない、ねっとりとした濃厚な味。もしかしたら洋菓子店なだけに、お菓子に使う特別なバターをトーストにも塗っているのではないか？　勝手にそう推測。合ってるのかは知らん。パンもしっかりした噛み応えがあって、こんがりした焼き加減といい、私の好み。今のところ名古屋で食べたトーストでは一番。

コーヒーはどっしりとして濃い。

流石の老舗は、お皿にも店名入り。

トーストの下には、見覚えのある“あの人”が隠れている。汚れないように引っ張り出してお持ち帰り。

店名入り灰皿も発見。

320円かあ……。思わずため息。家で食べるより喫茶店てなるよねえ。

場末の雰囲気と書いたが、店そのものよりも、隣接するボンボンセンターから流れてくる空気が影響しているのではなかろうか。名古屋の素敵純喫茶モーニングで満たされたことだし、少しこの魅惑の小路を歩いてみよう。