なんとなくふらり、が通用しないのが沼津。
駅前にこれといっためぼしい純喫茶がない代わりに、駅からそこそこ離れた場所に、見過ごせないほど素敵な純喫茶が点在している。
この日は沼津駅南口から少し歩いた市場町。3軒入ったが、うち2軒をレポートする予定。
まずは響きの美しい「銀嶺 (ぎんれい)」。
静岡県沼津市市場町12-4
閉店
傘をさして小雨交じりの中向かう。晴れている方が歩きやすいには違いないが、雨の日の方がわくわくする。雨宿りするため、雨からしばし解放されるため、と、わざわざ理由を作って純喫茶に行くのが好きだ。
橋を渡ると、遠くからも一目で分かる。
歩道にせり出す軒、高く掲げた看板。コーヒーの文字が浮き上がって立体的なのが、昭和チック。
ここは看板が個性的でカッコいい。
リスの陰で、お爺さんが掃き掃除していた。まだ早かったかな?と思いつつ、「大丈夫ですか?」と聞くと、どうぞどうぞ~!店内に案内してくれた。
うわー
うわーうわー
見上げれば輝くばかりの琥珀色。
どこに座ろうか迷い、しばしウロウロ。結局は全体が見渡せる奥の席。
※壁に大学ノートが下っていたが、表紙に「思い出帳」と書いてあった。
ここからだと、美しい照明器具がずらり眺められ、壮観。非日常感にうっとり。
振り返れば鹿!エゾシカ!
そういえば、前から思ったけど、純喫茶では鹿の頭をよく見かける。成金趣味の家に虎の敷物がある確率と、純喫茶に鹿のはく製がある確率どっちが高いだろう?
各テーブルには灰皿とマッチ。とことんエゾシカがお好きらしい。
テーブルごとに微妙に異なる置物。
木彫りっぽいシュガーポットに感激。
さて、なにを注文しようか。目に入ったシルバーコーヒーにしてみた。
さっきまで外を掃除していたお爺さんに注文すると、「ちょっと待っててね。よかったら新聞でも読む?」。とにかく気さくで親切な方だった。
いや~新聞なんて読んでる間ないですよ。だって、ここって、お宝満載だから。アンティークな品々がそこかしこに飾られている。綺麗な食器も飾ってあり、ウェッジウッドと書いてあった。
この店のすごいところは物が多いにも関わらず、とにかく綺麗。埃すら被ってないピカピカぶり。お爺さん掃除してたし、鹿の前のデンファレの花瓶の水を替えたりと、とにかくマメ。
店内きょろきょろしてると、ステンドグラス調のドアから、お爺さんより20~30歳以上若い男性登場。息子さんだろうか。カウンターに入り、コーヒーを淹れはじめた。
シルバーコーヒー到着。チョコレート付。私、食器にはまったく詳しくないけど、このカップとソーサーは高級に見える。もしや、これもウェッジウッド?
珈琲の味は癖のない、飲みやすいもの。
飲み終わってから気付いたが、置物の陰に木製の立派なメニューがあった。コーヒーもっといろいろあったみたい!
雨のせいか、時間が早いせいか、他にお客さんはなく、静かな時間を過ごした。
ところで、銀嶺。どうやら山のことみたいですね。内装も山小屋風だったし。帰り際に気付いた。なぜか、銀嶺を映画関係だと思い込んでいたのだった。
銀嶺 マッチ (2014年)
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
みかん
「銀嶺」には何度行ってもお休みの日に当たってしまっていたので、ぜひ今回は・・と思っていました。
しかし、どうも閉店してしまったようです。
お休みの日にも目立っていた看板は取り外されていました。
行けないで終わってしまう店が多くて寂しいです。
2017/08/03 URL 編集
エムケイ
「銀嶺」は閉店したと聞いてますが、本当にそうだったのですね。
私が訪問したときは高齢のマスターとその息子さんらしき男性の2人で切り盛りしていて、まだまだこれからも続けるという雰囲気でしたが。
沼津は他にも何軒かバタバタと昨年から今年にかけて閉店して寂しくなりましたね。
2017/08/03 URL 編集