【湯田温泉】喫茶 ぼなーる(閉店)

山口純喫茶巡りの1日目は早くも終わりを迎えようとしている。

純喫茶の宝庫・徳山には他にまだ行きたい店が残っているけども、思い切って全部振り切ってやった。だってそれ以上他にどうしても絶対行っておきたい純喫茶があるんだもの。心の声には素直に従うべし。

それがこれから紹介する湯田温泉にある「喫茶 ぼなーる」。

湯田温泉・ぼなーる1

喫茶 ぼなーる

山口県山口市湯田温泉1-11-35
2019年8月末閉店

湯田温泉・ぼなーる2

湯田温泉駅を出ると、大きな白狐の像がある。

昔々湯田の権現山の麓の寺に小さな池があり、ケガをした白狐が足をつけていた。おやおやとその池をさらに深く掘ってみたところ、大量の湯と共に薬師如来の金像まであらわれた。これが湯田温泉の白狐の伝説(参考:湯田温泉)。

「温泉街には良い純喫茶がある」

このような教えを聞いたことがないだろうか? 私はこれに懐疑的である。温泉街だから飛びぬけているとは思えないからだ。確かに熱海には珠玉の純喫茶がザクザクあるけども、それは単なる偶然ではないだろうか。熱海に近い伊東には数こそあれそこまで珠玉が多い印象はないし、例に挙げて申し訳ないが石和温泉なんか散々だった。他の温泉街も色々調べたけど、特別多い感じはない。

で、何が言いたいのかというと、これからレポートする喫茶ぼなーるは珠玉店ではあるが、それは温泉街だからという理由ではなく、ここがたまたま温泉街だったということを回りくどくお伝えしたかっただけである。

実際湯田温泉駅から喫茶ぼなーるまでの徒歩10~15分の道のりには純喫茶の気配はみじんもないし、それどころか昭和の風情も全然ない。味気なくて見どころも特になかった。

湯田温泉・ぼなーる3

そんな中唯一ツボだった(笑った)のが、この「女性自身」。明らかに某女性週刊誌にインスパイアされてる。写真の感じも古い。

湯田温泉・ぼなーる4

喫茶ぼなーるはこの女性自身のすぐ先で、旅館やホテルなどが並ぶ通りのいかにもな観光地。ビルの2階にあり、1階がスミスハイヤー。どちらかというと、喫茶よりもこちらの方が目立っている。

湯田温泉・ぼなーる5

けどぼなーるだって負けちゃいないよ。デカデカと目立つスミスハイヤーの看板の横でしっかりとステンドグラスでアピール!

湯田温泉・ぼなーる6

これはやっぱり期待通り! でも油断してると、純喫茶にありがちな『お客さんがいないから今日はもう閉めるか』なノリで閉められてしまう可能性もなきにしもあらずなので、急いで入店しなくては。

湯田温泉・ぼなーる7

珠玉の純喫茶はアプローチからして良い雰囲気を醸し出している。

湯田温泉・ぼなーる8

大きな甘味の写真が踊り場に置いてあった。

チョコレートパフェがやけに茶色い。ここまでチョコレートたっぷりなのは珍しいかも。おや、築地のコリントみたいに半分に折ったパンケーキも。っていうか、ホットケーキじゃなくてパンケーキなのね? 白十字もパンケーキだったし、山口県では純喫茶もパンケーキが主流なのだろうか。

湯田温泉・ぼなーる9 湯田温泉・ぼなーる10 湯田温泉・ぼなーる11 湯田温泉・ぼなーる12

☆☆☆ 最 高!!! ☆☆☆

ぼなーるといえばこの内装。

天井が鍾乳洞みたいになっている。こんなの日本中回ってもここぐらいじゃないのかな? 凄いよ、本当に!

あとね、随分前に初台にあるオペラシティーで開催されていた『ヴェルナー・パントン展』というのを見に行ったんだけど、そこに超・超スペイシーな展示があり、やっぱり天井から何からボコボコしており、それを彷彿とさせるものがある。

これこそが徳山蹴ってまで湯田温泉にいそいそと出向く理由。やったね、大当たり!

そして徐々に日が落ちてゆき、この凸凹が作りだす陰影はより一層濃くなり、赤のライトもより一層妖しげにより一層スペーシーになっていった。

壊れていて使えないけど、ジュークボックスが置いてあるのも観光地の喫茶らしくて素敵。

湯田温泉・ぼなーる13

黄色の庇を通して窓辺は黄色く染まる。

湯田温泉・ぼなーる14

逆U字の隙間から見えるのは向かいのホテル。

もしかしたら浴衣姿で温泉の後の宿泊客が入ってきたりするかなと期待してたけど、まったくその気配はなし。せっかくの広い店だというのに、ずっと貸切状態だった。

湯田温泉・ぼなーる15

なかなかに見どころの多い店で、窓の上の方は横一直線にライトアップされてるのだけど、じーーっとよく見るとこのような小さな仮面が並んでいたりする。

湯田温泉・ぼなーる16

そして忘れてはいけないのはこちら。

湯田温泉・ぼなーる17

スミスハイヤーの看板の横でアピールしていたステンドグラス。

店内で見るとライトアップされてて、より一層華やか。神話の世界なのかな? 美女が手に花輪を持っているけど、やっぱりこういう古典的なモチーフこそが純喫茶にふさわしい。

湯田温泉・ぼなーる18

日替わり定食は11:00~19:30。

メインはアジフライ。ゴボウの煮物、サラダ、漬物、ご飯、具だくさん味噌汁、そしてお茶。これで700円とはお得。

その上とっても美味しい! 純喫茶のハシゴをしてると、どうしても油、炭水化物に偏りがちで野菜類が不足するので、必ず1日のうちのどこかで食堂で食事するようにしているが、その必要はなし! しっかりバランスの良い食事がここで取れちゃう。

ただお値段が安いから仕方ないのだけど、量が控えめ。私はけっして大食漢ではないけど、物足りなかった。もしかするとお客さんの多くが昔から通っているお年を召した方が中心で、客層に合わせた量だという可能性もあり。

今思えばここでこの日は最後だし、せっかくの珠玉店なのだから、他にも頼んでおけば良かった。たとえばアメリカンな雰囲気を狙った、☆型のバターが乗ったパンケーキとか。

利用金額

  • 日替わり定食 700円

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コメント

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No title
温泉街には良い喫茶店があるかどうか、草津と伊香保にはないように思います。お茶を飲むところは今時のカフェなら多いです。温泉街は基本お酒を飲むところでしょうか、スナック多いです。
ボナールの鐘乳石内装すごいですね、秋吉台から着想を得ているのでしょうか。 オーナーの発想がすごい。スミスタクシーの名前も普通はつけないような名前に思います。このビルはできた当時、相当斬新だったんでしょうね。

エムケイ

温泉街に良い喫茶があるかどうかは偶然と運の賜物のような気がします。
草津と伊香保にはないですか……。私も以前調べたけど見つからなくて、でも実際もそうでしたか。
どちらも昭和の風情があるイメージですが、今時のカフェは多いのですね?

>ボナールの鐘乳石内装すごいですね、秋吉台から着想を得ているのでしょうか。

秋吉台が分からず(無知なので…)調べてしまいました。山口県美祢市なのですね。もしかしたら本当に秋吉台から着想を得ているのかもしれませんね。

>スミスタクシーの名前も普通はつけないような名前に思います。このビルはできた当時、相当斬新だったんでしょうね。

言われてみればたしかに…。かなり古いですが、スミスというのはアメリカにポピュラーな苗字という認識ですが、よくこの名前で戦時中を乗りきれたなと思います。

おっしゃる通りできた当初斬新なビルだったかもしれませんね。
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